◇研究プロジェクト立ち上げの理由

 平成184月の設置以来、地域学歴史文化研究センターでは、2度の展示開催及び図録の刊行、研究紀要1,2号の刊行、佐賀大学附属図書館所蔵市場直次郎コレクションの目録刊行と、成果をあげてきた。しかし、その内容を顧みると、前身である文系基礎学研究プロジェクトも含め、考古学及び古代・中世史に関しては未だ無く、古代・中世史については、研究紀要掲載の論考も無い状況である。

 そこでセンターでは、まずは中世史の研究成果を求めるべく、千葉氏に関する研究プロジェクトを立ち上げることとした。千葉氏を選んだ理由は、次のふたつである。

1)肥前佐賀地方の中世史といえば、松浦党や戦国期の龍造寺氏などがまず想起され、研究成果も多い。しかしながら、龍造寺氏以前の肥前佐賀地方で大きな勢力を誇っていた千葉氏に関する研究は少ない。肥前佐賀の中世史・地域史研究を深化させるためには、千葉氏研究の進展が不可欠である。

2)佐賀大学と協定を結び、センターとも共催展などを実施してきた小城市では、平成14年に「肥前千葉氏調査委員会」が組織され、千葉氏居城などの発掘調査が進み、関連して関係古文書の調査も計画されている。そのため大学と自治体・教育委員会の、共同研究としての展開が期待できる。

 以上から、本研究プロジェクトは、肥前佐賀地域研究の深化に貢献するだけでなく、大学と自治体・教育委員会の共同事業の新たなかたちを模索する上で、有意義であると考える。

 

 ◇研究プロジェクト組織

  プロジェクト長 宮島敬一  経済学部教授(兼小城市教育委員会・肥前千葉氏調査委員会委員)

       委員  伊藤昭弘 地域学歴史文化研究センター准教授

             野口朋隆  地域学歴史文化研究センター 非常勤博士研究員

           大塚俊司  地域学歴史文化研究センター 教務補佐員

           古庄秀樹  小城市立歴史資料館

  田久保佳寛  小城市立歴史資料館

 

◇期間   平成20101日〜平成23331

 

◇成果   特別展「中世小城の歴史・文化と肥前千葉氏」(平成211011月)

       特別展図録『中世小城の歴史・文化と肥前千葉氏』(平成2110月)